高宮慎一氏(以下、高宮) 「大きいゲームチェンジ」は、何かしらの「すごい転換点」がないと難しいとは思うんですよ。前回の「近代の話」の中で言いましたが、「ユーザーの根源的なニーズはあまり変わらない」ということが一つあります。でも、もし「根源的なニーズ」が変わるのであれば、「何に対してお金を払うか」が完全に違うと思うんですよ。

 新型コロナウイルスは、人々の生活を大きく変化させているので、もしかするとその根源的なニーズが変わるタイミングなのかもしれません。あとは、SDGs(持続可能な開発目標)もそうかもしれません。今までの日本での話でいうと、どちらかというと必要コスト的に「環境に優しい」と言ってきました。つまり、「コストとして割り切ってやりましょう」という話でしかなかったのが、ドイツのように進んでいると根本的にユーザーが購買動機として、SDGsを重視するように変わっていたり……。

尾原 元々そういう「エコではないモノ」は買わないってくらい、ドイツは「購買習慣」が変わっちゃいましたよね。

高宮 ユーザーがモノを選ぶときに、「エコなモノを買いたい」という「ユーザーの嗜好性」が変わってきていて、「大きな転換点」を迎えていますね。コロナを経て、ユーザーの嗜好性である「WHAT」そのものの「ニーズが変わる」ということがあれば、そこは大チャンスだと思います。今までのプラットフォームが押さえていないところなので、「WHAT」の転換を捉えられることが「大きいゲームチェンジ」になると思います。

 もう一つは、捉え方の「HOW」の転換です。

尾原 「WHAT」だけではなく「HOW」ですね。

高宮 はい。「HOW」の大転換もあると思っています。先ほどの「デバイスシフト」が一番わかりやすい例ですね。今後、VRがどのように「ユーザーの体験」をイネーブルするのか考えると、「同じ価値の提供の仕方」も変わるかもしれないですね。

尾原 そうですよね。

高宮 「ブロックチェーン(分散型の台帳)」は、ただの技術の名前だったと思うのですが、「NFT(非代替性トークン)」ではアプリケーションの名前になっています。「NFT」によって価値の提供のされ方が変わる可能性があります。

 例えば、先ほどのクリエーターの人がデジタルでクリエイティブを作って、それを売ろうとしたとします。今までの例でいうと、技術的な難易度の高さもあって、「IP(知的財産)のコントロール」や「権利者に対する支払い」が担保するのは、ビジネスモデル的にも難しかったです。

 しかし、「ブロックチェーン」という技術でレッジ(記録)しておけば、元の権利者にお金が支払われるので、二次流通や二次創作でも一次創作者にも支払われるようにできます。

尾原 ちゃんと一次創作者に配分できますよね。

高宮 そのようなところで「HOW」の部分に「大改革」が起こる可能性もあるのではないかと思っています。この「WHAT」と「HOW」の2つによって、「大変革」や「ガラガラポン」が起きる可能性があるということを頭に置きながら、「どちらにどういう変化が起きているのか」を意識するといいと思います。

 巨大プラットフォームが規模化しきっているので、まともに同じ土俵で挑むと、ただクラッシュされます。まともにぶつかって「ひっくり返す」のではなく、彼らが旧来の「WHAT」、「HOW」を前提としているからこそ、捉えづらい新しい「WHAT」、「HOW」を狙っていく必要があります。

尾原 確かに。人は「HOW」のテクノロジーの変更ばっかり見てしまうのですが、そこに何を重視するのかという「WHAT」の価値観の変更が、掛け算すると動くということですね。