日立製作所は、常に独シーメンスをベンチマークに置いて事業構造改革を行ってきた。では、シーメンスは日立のデジタルトランスフォーメーション(DX)事業の実力をどう見ているのか。特集『日立 最強グループの真贋』の番外編では、堀田邦彦・シーメンス日本法人代表取締役社長兼CEOに、日立に対してのシーメンスの強みや今後の課題などを聞いた。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
15年間で1.3兆円投じソフト会社買収
“急ごしらえ”の日立には負けない
――最も力を入れている産業向けソフトウエア事業が年平均成長率10%超で成長すると予想されています。日本市場の成長率はシーメンス全体の成長率より高いのですか。
もちろん上回っていきます。具体的な売上高は言えないのですが、昨年度(2020年9月期)のソフト売上高は、日本が中国を上回りました。世界の潮流では中国市場がアジアパシフィック地域で一番になるのが一般的ですが、日本市場が勝っているのです。
シーメンスは、工場で使う制御機器といったハードウエアとソフトの両方を提供できる世界で唯一の会社です。
顧客企業がソフトだけを更新しても、ものづくりのプロセスが旧態依然としたままでは投資のメリットが出ない。シーメンスは、ソフトとハードの両面から顧客の業務プロセス全体の改革を支援できるのです。
――日立製作所のソリューションとはどんな違いがあるのですか。