日立製作所は長年、独シーメンスをベンチマークにして事業改革を行ってきた。しかし、注力分野の収益力やデジタルトランスフォーメーション(DX)事業ではシーメンスが先行しており、“勝者総取り”的に顧客を囲い込む公算が大きくなりつつある。一方、日立の一発逆転の切り札が1兆円で買収した米グローバルロジック(GL)だ。徳永俊昭・日立副社長は「シーメンスと戦って十分に勝ち得る」と自信を見せた。特集『日立 最強グループの真贋』の#12では、徳永氏が考える「勝ち筋」に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
徳永副社長がインタビューで語った
買収した米IT企業の「強み」と日立の「弱点」
日立製作所とシーメンスは兄弟のように酷似した会社である。会社の規模はほぼ同じ。かつて主力製品だった火力発電用タービン事業を売却するなどして、デジタル化と相性のいい事業ポートフォリオを構築してきたことも共通している。
その結果、両社が成長分野に位置づけている領域は共に「工場のスマート化」「鉄道」「送配電」「ヘルスケア」と、将来構想までほぼ一致している。いずれもハードウエアの製品に加え、デジタル技術を活用したサービスの市場の“急速な立ち上がり”が見込まれる有望な領域である。
つまり両社は今後も、世界のDX事業で激突することは避けられないのだ。
では、日立は先行するシーメンスとの決戦に勝てるのか。