深掘りをする問い

 トヨタの「なぜを5回繰り返す」という方法もそうですが、マッキンゼーでも「So What?」(だから何? つまり何が言いたいの?)、「Why So?」(それは、なぜ?)を繰り返すことで、ロジックを強固なものにしていきます。

 たとえば、「残業を減らすには、不要な仕事を減らすべきではないか?」という仮説を立てたとします。それに対し、「So What?」(だから何?)という問いを立てれば、「無駄な資料づくりが多い」というふうに「何が不要なのか」が出てきます。

 さらに、「Why So?」(それは、なぜ?)と問いかけて「同じ内容のものを提出先ごとに分けてつくっているので、無駄が生じている」という仮説が出てくれば、具体的に対応することができるようになります。

チャンクダウン&アップ

 チャンクとは、「かたまり」を意味する言葉です。チャンクダウンは、「かたまり」を小さく分けるということで、チャンクアップは、「かたまり」をまとめて大きくすることを意味します。

 チャンクダウンは考えを具体的にしたり、下位の概念にすること。たとえば、問題を複数の小さなかたまり(グループ)に分けるのはチャンクダウンです。

 チャンクアップは、考えを抽象化したり、より上位の概念にすること。つまり、具体的な事象から問題の全体を見ることです。

 コンサルタントは、抽象化した概念から「それは具体的にはどういうこと?」と聞いて具体的事象を見つけたり、具体的な事象から、ある傾向を見つけてグルーピングしながら抽象化していきますが、それと同じです。

 たとえば、「社内の風通しが悪い」と言われたときに、「具体的にどういうこと?」 と問えば、「上司と部下の報連相ができていない」「部署間でもうまく連携ができない」などと、チャンクダウンした事象が出てきます。これをさらにチャンクダウンすれば、「上司が怖くて意見を言えない」「メンバー同士が反目し合っている」などと、さらに具体的な事象が出てくるでしょう。

 逆に、「うちの部署では、怖くて上司に意見を言わない」「メンバー同士が、どんな仕事をしているのか知らない」「部署内で仕事の目的が共有されていない」と言われたときに、「要するにどういうことか?」と思考すれば、「つまり、これらの事象は、社内の風通しが悪いということだ」と、抽象化してまとめることができます。これがチャンクアップです。

 頭がいいと言われる人は、この二つを意識的に使いながら、思考を深めています。