これからの対面集合研修と施設に望まれること

 伊藤研修センターのように、ひとつの建物内に大小多数の研修室があり、宿泊もできて、ミュージアム(史料室)もある大型研修施設は全国でも珍しい。そして、同施設が目指すような「集い・気付き・学ぶ」という行動サイクルは、自宅や会社のパソコン前(=オンライン)からの「移動」によってなされるものだ。また、初めて訪れた場所で、初めてのことを学ぶという「非日常体験」は、忘れ得ぬイメージとともに来館者の頭の中に深く刻まれるだろう。たとえば、歳月を経て、新たな研修カリキュラムを受けることになり、伊藤研修センターを再び訪れたときには、「前回は○○だったなぁ…」といった記憶の呼び戻しで、過去の学びが反復されるにちがいない。リアル対面の集合研修が行われる施設には、オンラインでは成し得ない価値がある。

高木 私たちのグループに限らず、今後も、リアル対面での集合研修はなくならないでしょう。オンラインでの研修が可能でありながらも移動して集まる場合は、そうすることの意味と期待が大きくなるはずです。集まったのに、「一日中、先生の話を聞いただけで終わった」という研修は、これからはあまり成り立ちません。リアルな空間に集まった以上は、深い交流があって、お互いの気付きが生まれるディスカッションが望まれます。座学だけではなく、身体を動かすことも研修カリキュラム内にあり…などと、研修の中身は進化していくでしょう。私たちも、まだそうした進化の途中ですが、この場所をさらなる気付きが生まれる環境にしていき、運営側は集まることに価値を見出す研修方法を心がけなくてはいけません。教育スタッフのトレーニングも必要ですね。

 研修を受ける側は、「研修?…嫌だなぁ」と思いつつ、先生の話を座って聞き続け、「眠かった」ということもあるでしょうが、「すごく楽しい研修だった。勉強になった。この場所に来て良かった」と、仕事のモチベーションを上げて新横浜駅に向かうのが理想です。コロナ禍で、リアルに対面することの重要度が高まっていることは間違いなく、私たち伊藤研修センターの役割はさらに大きくなると思います。

ウィズコロナで価値を高める新横浜の“大型研修施設”――その魅力を探るインテリアが目を引く、ホテルのラウンジのような吹き抜け空間。正面入り口へと続く、1階と2階を結ぶ階段は赤色のカーペットが“非日常空間”を思わせ、旧態依然とした“研修施設のイメージ”を覆す
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