(3)税金と社会保険料

 世の中には税金と社会保険料があり、重要だ。所得税、住民税、国民年金、厚生年金、健康保険などについてざっと教えて、税率などはホームページで確認させる。家庭学習の課題として、親の給与明細の数字を全て理解することを課す。

 本当はコピーを持ってこさせて教室で解説したいところだが、それはやりにくいだろうから、解説・解答は生徒の親に任せる。親が説明できるような、簡単な解説プリントを配るのもよい。

(4)複利の計算

 まず金利の意味を教え、次に単利と複利の区別を説明する。さらに、複利の計算方法を、スマートフォンの電卓の使い方なども含めて教える。何通りか実際に計算させるといい。

 計算問題には、借金の事例がいいだろう。例えば以下のようなものだ。

【問題】「年利14%で借りたカードローンの借金は、どれくらいの期間で2倍になるか?」

(5)割引現在価値

 株式投資になぜ高いリターンが見込めるかを理解させるには、「割引現在価値」と「リスクプレミアム」の理解が必須だ。これらの理解を抜きに株式投資を勧められない。やや上級の数学を使うが、十分高校の範囲であり、文系進路の生徒にもできるはずだ。

 数学の教師の手助けを得て「等比数列の和の公式」を確認し、「1株利益(E)」「利益成長率(g)」「割引率(r)」から「理論株価(P)」を求める式が導けることを教えて、(P=E/(r−g)だ)何通りかのケースを生徒に計算させる。

 次に、株価形成の際に「リスクプレミアム」が織り込まれることが、株式の高いリターンの源泉であることを説明する(ここまでが授業範囲だ)。さらに、過去における内外の株式のリターンのデータを調べさせる(これは宿題にするといい)。

(6)投資と投機の違い

 生徒が自力で考えるには少し難しいので、教師が丁寧に説明する。

 株式のような資本の価格が決まるときには、(5)のような過程でリスクプレミアムが織り込まれるが、外国為替市場のようなゼロサムゲーム構造の価格決定では、価格変動のリスクを負担しても、リスクプレミアムが生じないことを説明する。外国為替の仕組みの理解が必要なので、政治経済の教師の助力を仰いでもいいだろう。

 投資と投機の区別は大事なのだが、まずは教師がしっかり理解しておくことが重要だ。