「キング・オブ・ウルトラニッチ」誰も橋下徹に追随できない、しようと思わない

橋下徹橋下徹氏 Photo:JIJI

 どうやら世間の視聴者の間では、橋下徹氏は明確に好き嫌いの分かれる「悪役」のようだ。だが大阪では、橋下徹氏は正義の味方なのである。「北野高校出てはるねんで(大阪における北野高校のステイタスの高さはピカイチ)」「弁護士さんやねんで」「ほんで、知事も市長もならはってなぁ」「でもホンマは苦労してはんねん」。

 今回の衆院選でも維新の会が意外なほどの躍進を見せたことからわかるように、大阪では「維新は与党」であり、そのアイコンである橋下徹氏は、大阪人の大好きな人情派、松下幸之助や中内功路線、「アンチ主流」「アンチ自民」「アンチ東京」を体現するヒーローなのだ。

 人権派弁護士、大阪府知事、大阪市長、維新の会初代代表を経て、いまや各局で朝から夜まで一日中引っ張りだこのコメンテーター。朝も昼も夜もフジテレビに出ていたり、朝は東京のテレビだったのに、その足で羽田に向かい、夕方は大阪のテレビに出ていたりなんてこともある。口を開けば必ず面白くて、ネットニュースのヘッドラインになるようなことを言う。現場には「橋下さんがいれば大丈夫」という空気が生まれる。人の名前をサラッと覚え、お互いの間に親近感と共感を生み、周りを楽しく会話に巻き込んで「橋下さんって実際はすごく良い人なんだなぁ」と好きにさせる手慣れた術は、ベテラン政治家のそれだ。誰も彼の経歴やスキルを追随できないし、もはやしようと思わない。圧倒的な存在、キング・オブ・ウルトラニッチなのである。

 無競争の域にまで突き抜けた彼ら。お茶の間のテレビで見て人々がジャッジする以上に、彼らは「ホンモノ」。だから、あの椅子に座っているのだ。