しかし、最初に到着していたはずの警備員たちはいったい何をしていたのでしょうか? 私と目の合った警備員に質問すると、ばつが悪そうにポツリとつぶやきました。

「逃げないように見ていました」

 誰ひとり当事者意識がなかったのです。これでは、チームであったとしても名ばかり。それぞれが、それぞれの責任で動いていかないかぎり、事態は悪化することはあれど、決して解決しないのです。

チームで対応するクレーム対策とは?

 最近、スーパーなどの店舗で起こることが多いものとしては、「マスクを着けずにやってきたお客がいて、店員やほかの客ともめる」というトラブルがあります。クレーマー対応の現場を想定してみてください。あなたが店舗のスタッフなら、どんな「カスハラ対策」を施し、どのように対処しますか。どのように説明すれば、相手は納得してくれるのでしょうか。

 まずこの場合、凶悪事件ではありませんので、いきなり警察を呼んで「業務妨害」だと言うのは無理があります。

 クレーマー対応で意識してほしいのは「三段構え」。建物や敷地内(庁舎)の“管理権”に基づく「お願い」「注意」「警告」という三段階のステップです。

 まず、「マスクをせずに、大きな声で騒ぐのはおやめください」と数回は繰り返し“お願い”します。当然、これだけで静かになることはありません。数分間の時間を経て次の手順に移ります。

「先ほどから繰り返しお願いしています、静かにしてください」などと“注意”します。それでも、大きな声でクレームが続くようなら、「騒がれますと業務の支障になります」「管理者としての権限に基づいて警告します」「これ以上、騒ぐのであれば業務妨害に当たる(と判断し)ので警察を呼びます」など“警告”に移ります。