日米共に株価が高値圏にあるだけに、資金の一部を利回り商品に投入することも検討したい。候補となるのが、少額から不動産に投資でき、分配金が安定しているJ-REITだ。今の水準でも十分に魅力的だが、増資による一時的な調整があれば絶好の買いチャンスとなる。特集『今仕込みたい「強い株」』(全15回)の#4では、オフィス、物流など投資対象別の強弱をナンバーワンアナリストに直撃した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
1~3月はREITが調整しやすい時期
安値拾いのチャンスを見逃すな
NYダウやS&P500が高値更新を続ける一方で、バブルを懸念する声もある。今後の予想は難しいが、守りを固める意味でも、株式以外の高利回り商品も資産の一部に組み入れておきたい。
その有力な候補となるのが、少額から不動産に分散投資ができ、分配金も安定しているJ-REIT(不動産投資信託)である。株式や不動産の価格と比較すると、家賃収入の変動はマイルドであり、分配金の安定性は高い。
実際、J-REIT市場全体の1口当たり分配金は、2013年から19年にかけて年率5%ペースで安定的に増加。コロナ禍の昨年も増配を達成した。
とはいえ、東証REIT指数は新型コロナウイルス感染拡大前の価格に接近。今から買っていいのか。J-REITの平均分配金利回りは3.6%水準と悪くないが、SMBC日興証券シニアアナリストの鳥井裕史氏は、今後の投資戦略をこう解説する。
「足元の東証REIT指数(2067ポイント、11月11日時点)はフェアバリュー(適正価格)に近い水準。REITは長期金利と連動しやすいが、長期金利が0.1%であれば指数のターゲットは2200ポイント。足元は金利上昇リスクも意識されているので、今後数カ月は2100~2200ポイントをメインシナリオとしている」
上値を抑える最大の要因は、J-REITの時価総額の4割近くを占めるオフィスの動向に不透明感があること。2500ポイントを目指して上昇するには、オフィスの空室率低下や賃料の増額、それらの結果による増配が必要になるが、今の外部環境では難しい。
「足元の2000ポイント台は買っていい水準。ただし、急ぐ必要はありません。年明けの1~3月はREITが100~150ポイント調整しやすい時期。2000ポイント割れで半年間口を開けて待っていれば安値を拾える可能性が高い」
なぜ1~3月はREITが下落しやすいのか。そして、オフィス、ホテル、商業、物流など投資対象別に注目するべき銘柄とは。次ページで詳しく解説していく。