今仕込みたい「強い株」#6Photo:jayk7/gettyimages

身を粉にして働くビジネスパーソンにとって、気になるのは他社の懐事情だ。好業績をきちんと還元する「社員を大切にする会社」であれば、従業員の士気が上がり、優秀な人材も集まるという好循環が期待できる。特集『今仕込みたい「強い株」』(全15回)の#6では、そんな優良企業の姿を明らかにすべく、5期前と比べ平均年収が100万円超増え、社員数も10人以上拡大した上場企業をランキングした。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

年収はビジネスパーソンの最重要データ
日本にも安定的な「待遇成長企業」はある!

 日本の給与水準は先進国の中でも低く、残念ながら長らくジリ貧にあった。

 しかし、そんな中でも成長し、着実に給与水準を上げてきた優良企業はある。好業績を従業員の待遇にきちんと還元すれば、モチベーションは上がるし優秀な人材も集まる。そうなれば、さらに成長するという好循環が期待できるのだ。

 今回はそんな優良企業の存在を明らかにすべく、直近(3月期決算企業なら2021年3月期、12月期決算なら20年12月期)の各社の平均年収を順位付けした上で、中期的な時間軸となる5期前の水準と比較。年収のみならず従業員数も10人以上増えた、従業員300人以上の企業という条件で抽出した。

 つまり、大手でも現状に安住せず、待遇を改善しながら人員も増やした企業といえるが、5期前と直接比較可能な上場企業約3300社の中でも、この条件に当てはまるのはわずか60社にとどまった。

 なんと首位の企業は、5年で平均年収が351万円も増えた。その企業はコロナ禍の真っただ中である20年半ばごろから株高に弾みがつき、コロナ直前の19年末と比べ6倍近くに急伸。従業員数も130人以上増え、直近年度の平均年収は1400万円に迫る高水準だ。

 2位は、アサヒビールやアサヒ飲料などを傘下に持つアサヒグループホールディングス(昨今は持ち株会社の形で上場する企業が増えているため、5期前比で平均年収が100万円超上がったことに加え、「従業員数が10人以上増えた」条件にも当てはまる場合は持ち株会社もランキング対象とした)。同社の平均年収増加額は300万円で、60社のうち上位5社が平均年収200万円超アップを果たした。

 次ページでは、そんなえりすぐりの60社をランキング形式で紹介。転職志望者や投資家も気になる、定量データに基づいた最新の「年収」序列を一挙に明らかにしていこう。