今仕込みたい「強い株」#3Photo:Yuichiro Chino/gettyimages

外国為替市場ではこの1年で、10円近くも円安・ドル高が進んだ。日本株と円相場の連動性は以前より見られなくなっているが、個別に見れば円安の恩恵を受ける銘柄も少なくない。そこで特集『今仕込みたい「強い株」』(全15回)の#3では、対ドルの円相場が変動した際の株価との相関係数が高い上場企業50社をランキングし、「円安が進むと株高となりやすい」銘柄をあぶり出した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

円安進行の影響は二極化
輸出型産業などへの恩恵は大きい

「悪い円安」という言葉を最近、ニュースなどで目にする機会が増えた人も多いのではないだろうか。

 外国為替市場で円安・ドル高が進むと、通常は輸出企業を中心としたグローバル企業の業績に追い風となる。ただし資源高が進む昨今のような環境では、輸入原材料のコスト高にも直結し、むしろ日本経済や企業収益に負の影響をもたらしかねないというわけだ。

 そうした懸念を市場も嗅ぎ取っているのか、このところ円安・ドル高局面でも日本株との連動性が薄れ、市場全体の押し上げ要因とはなりづらい傾向にある。

 ただし同じ円安という現象でも、実はその影響は企業によって二極化していて、個別に見ればまだまだ円安の恩恵が大きい銘柄も少なくない。

 もちろん、ダイレクトに為替の変動を利用する外国為替証拠金取引(FX)のような商品に投資することもできる。しかし、各通貨の為替相場の水準は、その時々の国同士の交易条件や金利など複雑な力学を基に変動し、基本的に一方向へ傾き続けることは想定しづらい。一方で株式なら、その企業が利益成長を続ける限り理論的に株価の上昇が見込める。

 つまり、投資初心者ならばFXよりも、企業の株式の方が取引を手掛けやすい資産だといえよう。

 そこで次ページでは、ドル円相場と上場する各銘柄の相関係数について、定量分析に基づく戦略立案に定評のある智剣・Oskarグループの大川智宏CEO兼主席ストラテジストが過去10年間のデータを基にランキング。上位50社を抽出し、「円安・ドル高時に株高となりやすい」企業を明らかにした。