「供給制約」の逆風に悩まされる日本の産業界。その鍵を握る存在が半導体だ。引き合いは強く、しばらくこの業界には追い風が吹いているが、好調さはいつまで続くのか。特集『今仕込みたい「強い株」』(全15回)の#9では、関連企業の中間決算結果を分析するとともに、変化の芽が見え始めた半導体サイクルの行方を予測する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
「供給制約」の鍵となる半導体
変化の芽が見え始めたとの声も
自動車や産業機器、家電やゲーム機から電子たばこまで……。産業界が今、直面する大逆風が「半導体不足」だ。コロナ禍からの経済再開で需要が急増し、ただでさえ、メーカー各社は生産や物流面などで課題を抱えている。そうした状況下で半導体不足が深刻化し、供給制約に追い打ちをかけているのだ。
逆に言えば、半導体業界には大きな追い風が吹いている。基本的に変化の激しい業界だが、半導体のデバイスや、その製造装置などを手掛ける企業に対しては、しばらく強い引き合いが続いてきた。
下図の通り、半導体業界で日本が世界で競争力を持つのは、デバイスより製造装置の分野となるのだが、この10年間ほどは日本製・北米製共に販売高が上昇トレンド。東京エレクトロンやレーザーテックのように、決算での最高益や、株価の最高値更新を続ける企業も多く勢いが見て取れる。
ただし、市場では「あらゆる領域で半導体不足が叫ばれた少し前に比べると、サイクルに変化の芽が見え始めた」との声も出ている。“産業のコメ”と呼ばれる半導体は非常に幅広いものに使われるが、分野によっては多少なりとも需給の緩和が期待できる状況になってきたということだ。
これは不足に悩む産業界にとっては朗報だが、わが世の春を謳歌する半導体業界にはいかなる影響を与えるのか、当事者も投資家も気になるところだろう。そこで次ページでは、半導体業界のトップアナリストの見解を基に、発表を終えたばかりの国内関連企業8社の決算動向を分析。その結果を踏まえ、この先の半導体サイクルの行方についても検証していく。