米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は1期目、FRBの近代史において最もハト派的な議長となった。インフレが消滅したかのような時代にあって、完全雇用の実現を優先させてきた。2期目は、雇用を犠牲にしてでもインフレ対策を優先するという、これまでとは逆の対応を強いられるかもしれない。パウエル氏にとっても、彼のハト派的な実績を評価して再任を決めたジョー・バイデン大統領にとっても、そうした転換は痛みを伴う可能性がある。それはまた、ここわずか1年で経済状況が大きく変化したことを反映するものだ。インフレ率は6.2%と、31年ぶりの高水準にある。雇用は新型コロナウイルス感染拡大前のピーク時を依然として420万人下回る一方、人手不足が広がり、賃金の上昇は加速している。その全てが、FRBの掲げる2%のインフレ目標を脅かしている。
再任パウエル氏、経済環境の一変で試される柔軟性
インフレ高止まりならタカ派への転換必須、景気後退と政治的反発のリスク
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