SDGsに向き合い、達成するための起点は……

 GiFTは、「地球志民」に至るプロセスには4つのステップがあるとしている。◎STEP1「地」=自己を知る、受け入れる ◎STEP2「球」=相手を知る、受け入れる ◎STEP3「志」=志を重ね、共に創る ◎STEP4「民」=社会に参画し、還元する――SDGsと向き合う場合も、このプロセスが大切だと、辰野さんは解説する。

辰野 一般的に考えれば、SDGsの実践は、この「地球志民プロセス」におけるSTEP3とSTEP4でしょう。でも、前段として、STEP1の「自己を知る、受け入れる」こととSTEP2の「相手を知る、受け入れる」ことが大切です。たとえば、学校の授業で「プラスチックゴミをどうやって減らせるかを考えてみよう」、企業が「SDGsのゴールについてソリューション策を提示しましょう」などは、いきなり、STEP3とSTEP4を行っているものであり、自分自身と向き合わないままでゴールの達成を目指すと、SDGsへの取り組みは2030年に自動的に終わってしまうと私は危惧します。学生もビジネスパーソンも、自分の価値観や経験を見直し、さまざまな仲間たちを知り、現在の自分は何を感じ、何にモヤモヤし、ワクワクするのかを知ることがSDGsを達成するための起点だと思います。

SDGs4「質の高い教育をみんなに」――真のグローバルとは何か?画像提供:GiFT

 GiFTは、2014年7月から、東洋大学の全学部生・大学院生を対象に社会参加型の短期海外研修「Diversity Voyage(ダイバーシティ ボヤージ)」を行っている。「地球志民」の育成を目指すプログラムだが、その特徴は何か?

辰野 Diversity Voyageは、「本当の自分が何をしたいのか、どんな社会を創りたいのか」という問いかけとその答えを見つけていく研修として、いろいろな国のメンバーとじっくり対話し、自分の感性とつながることを大切にしています。そうすることで、学生たちは「地球志民プロセス」であるSTEP3「共に取り組み、創る」とSTEP4「社会に参画し、還元する」を自走していきます。「オリイジン」さんの言うところの「ココロスタイル」の確立ですね。自分と向き合ったうえで他者を受け入れる姿勢が大切で、自分の中の多様性に気づき、それを承認することで、初めて他者を受容し、理解できるのです。

 そうして、Diversity Voyageでは、STEP3とSTEP4として、他国の人たちと新たな価値創造をしていきます。たとえば、ブータンにはひどいゴミ問題があって、それを減らすためにどのような環境教育ができるかを現地の人とともに考えます。カンボジアではスポーツの価値、マレーシアでは食を通じた多文化共生のあり方を追求します。