「K防疫成功」の
国際的評価が失われる

 韓国で1日の新規感染者が5000人を超え、過去最多を記録したことを海外メディアが一斉に報じた。

 ロイターは「隣国の日本は感染を抑制し、東京の新規感染者数を一けたにおさえているが、韓国は他の国々と同様に推移している」「400人未満だった先月初めに比べ、急激な増加傾向にある」と報じた。

 APは「保健の専門家らは、経済への影響を考えて先月に緩和された社会的距離確保の規制を、再び施行すべきだと主張した」と述べている。

 K防疫成功に韓国国民が酔いしれたのは、これによって文大統領の国際的評価が高まり、韓国の国際的地位も高まったという高揚感が大きな要因となっていた。しかし、新型コロナ感染の拡大に伴う苦しみに加え、韓国の国際的評価が失われることは文大統領に対する失望につながっていくだろう。

感染拡大を抑える
有効な手立てがない政府

 韓国政府はK防疫に伴い、これまで飲食店に営業時間の短縮、入店人数の制限、客の個人情報確保・提供などさまざまな規制をかけてきた。

 しかしその結果、コロナ以降1年6カ月で自営業者は66兆ウォン(約6.3兆円)を超える負債を抱え込み、1日平均1000店以上の店舗が廃業し、45万店以上が閉店したという。京卿新聞の調査によると、韓国の飲食店が受けた政府の支援や補償は他の先進国の10~20分の1程度である。自営業者の苦痛はあまりにも長い期間放置されてきた。

 新規感染者が過去最多を記録したにもかかわらず、政府は有効な対策を打ち出せていない。規制を強化すれば、自営業者の廃業・倒産は一層増大するであろう。しかし、社会的距離確保を進めなければ、新規感染者は一層増大し、日常の回復は一層遅れるであろう。

 そこに来てのオミクロン株の世界各国への拡散である。1日に行われた中央防災対策本部の説明によると、先月24日にナイジェリアから入国した40代夫婦ら3人がオミクロン株に感染していた。

 これに先立ち、23日にナイジェリアから帰国し新型コロナ感染が確認されていた50代女性とその知人ら2人もオミクロン株に感染していた事実が追加で確認された。さらに悪いことに40代夫婦がワクチン接種完了者だったため、移動制限を受けていなかった。それゆえ今後、地域社会への感染も懸念される。