カスハラが原因で社員の心身の健康が損なわれた場合、
労災の可能性がある

  E社労士は、A課長の問題点と甲社の責任についても指摘をした。

ア)A課長の問題点
 (1)B子が、再三C部長のカスハラに対して対処方法を相談しているのにもかかわらず、話を真摯に受け止めず放置していた(カスハラに対する認識不足、管理能力の不足)。
 (2)C部長からセクハラをされる可能性があることを知っていながら、業務命令でパーティーに1人で参加させた(企業の安全配慮義務意識の欠如)。
 (3)上記(1)(2)の対処が原因で、問題が大きくなり乙社との関係性がこじれる、甲社のB子に対する責任が問われるなどの可能性があった。
 (4)B子に対して「クビ」などと暴言を吐いた(パワハラの可能性がある)。

イ)B子に対する甲社の責任
 (1)C部長から受けたカスハラにより、B子がメンタルヘルスの不調に陥ったり、パーティー中の接触等により身体を損傷したりした場合、労災と判断される可能性がある。
 (2)前項で労災認定を受けた場合、甲社は企業の安全配慮義務違反として、B子から慰謝料などを請求される場合がある。