ミッシーで把握したら
重要事項を絞り込む

 全体をミッシー(モレやダブリがない状態)で把握することは、論理思考の第一歩です。仮に「営業部門の売上拡大」という目的を設定したとします。営業部門の売上拡大のために、どのような問題を克服すべきかミッシーで把握してみましょう。

 そもそも重要項目がモレていると、的はずれな対策が増えて議論の成果が上がりません。たとえば、販売方法、営業体制、販売代理店、取扱商品、商品の仕入、クレーム対応、値引き方針など、重要項目にモレがないようにミッシーで把握します。

 全体を把握するときに、あらゆる可能性をミッシーの視点でつかむようにします。注意すべきはモレやダブリがない状態で全体を把握したからといって、すべてが重要だという意味ではない点です。時間と予算は限られていますから、優先順位をつけて、目的を達成するために効果的な重要項目を絞り込むことが大事です。

 最初からモレやダブリがあると、的はずれの努力に陥りやすいのです。たとえば刑事ドラマの事件では、「殺人か」「自殺か」「事故か」の3つの可能性を最初に考えます。「自殺しかない」と決め込んでしまうと、殺人犯を逃す可能性が高まるでしょう。

 ミッシーは、何か新しいことを始めるとき、全体像を見失っているとき、努力しても出口が見えないとき、少ない労力で成果を上げたいときなどに使うと役立ちます。

 ミッシーを考えるコツは、「正反対」の組み合わせです。「内部vs外部」「ハードvsソフト」「プラス要因vsマイナス要因」「変動vs固定」などです。たとえば「内部vs外部」なら「国内vs海外」「業界内vs業界外」などと応用できます。

「裏表ミッシー」と覚えておきましょう。表と正反対の裏を見れば、死角が完全に発見できるからです。ともすれば目の前にある対象物だけに目を奪われがちですが、そのために猪突猛進で「的はずれの努力」に暴走してしまうのです。

 正反対の組み合わせを考えたら、「それ以外」という視点で「他にモレがないか?」を問いかけます。目の前にあるものに気を取られすぎると、垂直思考になってどんどん視野が狭くなってしまいます。