「イシューを特定する」とは、会議や議論などで「何を考えるべきか」「何を論じるべきか」を明らかにすることです。イシューの特定が見当はずれであれば、どんなに精緻に論理を組み立てても意味がありません。

「セミナーの集客力アップ」を例に、イシューを考えてみましょう。

 まず議論する問題提起として、「セミナーの集客力が落ちている。何とか現状打破をしたい」と考えたとします。そこで何を論じるべきか。「集客力が落ちた問題点や原因を論じるべきなのか?」「広告の改善方法を論じるべきなのか?」など、イシューの候補をあげてみました。そこで「まずは集客力が落ちた問題点や原因を論じる」というようにイシューを特定したとします。必要であれば事前準備として、イシューに沿った範囲での情報収集をしておくのも一案です。イシューに沿った範囲で論じていき、考えられる問題点や原因を自由討議して、意見交換していきます。そしてまとめとして、重要と思われる問題点や原因をいくつかに絞り込みます。

 当初のイシューが達成できたら、次のイシューを特定します。「集客力アップの対策全般を論じる」が次のイシューなら、そのためのアイデアを出し合えばいいでしょう。

機会損失、ムダを避けるために
モレ、ダブリのないミッシーで考える

 論理思考の大前提として、モレが出ないように「マクロからミクロに考える」ことが原則でした。マクロ(全体や概要)の全体像を把握するときの留意点があります。全体像を体系的に把握する考え方がミッシー(MECE=Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)です。ミッシーとは「モレやダブリがない状態」です。

 なぜミッシーを意識することが大切なのでしょうか。モレがあるとチャンスを失いやすくなります。たとえば近年、スマートフォンの普及でゲーム市場が興隆し、コミック本の電子書籍が人気になっています。新しい市場が生まれれば、新しいビジネスチャンスが生まれます。こうした動きを把握していない(モレ)のは機会損失です。

 ダブリがあるとムダや混乱が発生します。たとえば給与計算が経理部と人事部の両部門の担当になっていたら、お互いの仕事がダブって作業のムダが発生しますね。