結局、ノンアルコールドリンクと
何が違う?
現在、販売している商品はイギリスやオーストラリアなど、ノンアル先進国からの輸入品が大半を占める。さっそく人気のドリンクを紹介してもらった。
「まずは、イギリス産の「/shrb(シュラブ)」です。宗教上、飲酒は禁止されているイスラム教徒が、2017年にロンドンで製造を始めたドリンクです。レストランで料理と一緒に楽しめるドリンクが欲しい、との要望に応え、造り始めたそうです」
少しややこしいが、もともと「shrub(シュラブ)」という飲み物は存在しており、起源はローマ帝国までさかのぼる。当時は、果物やハーブを保存するためにビネガー(酢)を使用しており、衛生状態が悪い地域では、ビネガーを水に混ぜて飲むことで、殺菌に利用していた。以後、18世紀のロンドンで広まり、20世紀初頭のアメリカの禁酒法時代にもお酒の代わりとして人気を集めていく。このように、オルタナティブアルコールは、実は歴史の長い飲み物である。
では、従来のノンアルコールドリンクとどう違うのか?
安藤さんによると、ノンアルコールドリンクは、既存のアルコールドリンクから技術的にアルコール分を抜いた飲み物だという。一方で、オルタナティブアルコールは、「果物やハーブを漬け込んだビネガーに、果物や植物によって香りや味をつけたもの」。つまり、ノンアルコールドリンクに工夫をこらしたものが、オルタナティブアルコールというわけだ。
「これまでにない新しいタイプの飲み物です。アルコールに引けを取らない価格ですが、その分、大人の方が食事を楽しみながら、ゆっくりと味わえるドリンクだと自負しています」
売り上げは好調で、2018年の開業時から前年比倍以上で業績を伸ばし続けている。
「主な納入先は、高級レストランやホテルが大半です。購入するのは女性の方が多いですね。アルコールは飲めないけれど、代わりにおいしいドリンクを飲みたい。最近は、そんな方が増えていると感じています」
アルト・アルコが運営するノンアルコール専門の通販サイト「nolky(ノルキー)」では、国内外の個性的なオルタナティブドリンクが販売されている。例えば、茨城県で製造されるKOMBUCHA SHIP(コンブチャシップ)は、お茶を発酵させて香りや味わいを出したユニークな一品だ。繊細な味わいが特徴で、和食や魚介料理によく合うという。
家庭でのおすすめの飲み方を教えてもらった。
「簡単にできるのは、シュラブのトマトジュース割りです。ブラッディ•マリーのような味になり、とてもおいしいです。牛乳で割るとスパイシーな複雑味のあるインドのラッシーのような爽やかな一杯になりますよ」