コロナ禍でアルコール市場と
ノンアルコール市場に起きた変化

 同社のオルタナティブアルコールを販売している「3rd Menu」というグルメサイトにも取材を行った。

 こちらは、シェフ自らが手づくりする冷蔵・冷凍のお取り寄せグルメを中心に、厳選した食品を販売するセレクトショップで、コロナ禍で売り上げを伸ばしている。

「今年6月から販売していますが、売り上げは好調です。一時は在庫が品薄になったほどです。コロナ禍になり、自宅でおいしい料理やドリンクを楽しむ人が増えてきたためでしょうか。オルタナティブアルコールをメニューに取り入れたいというレストランも、少しずつ増えています。日本では、まだ知名度が低いですが、イベントでPRすると、試しに購入される方が多く、一気に売れるようになりました。購入されたお客様からは、『今までに飲んだことがない味!』『最初は驚いたけれど飲むうちに慣れて、また飲みたくなる』『料理がよりおいしくなった』という感想をいただいています」(3rd Menuを運営する株式会社グレーアンドネイビー代表・中村友憲さん)

 世界的に若い世代のアルコール離れが進んでいるが、その代わりに人気を集めているのが、クラフトビールやクラフトジンといった、小規模メーカーが工夫を凝らしてつくるドリンク類だ。

 一世代前と違い、アルコールは酔うためではなく、独自の世界観や味わいを楽しむようになりつつある。そんな時代を背景に、オルタナティブアルコールは成長を遂げている。また、コロナ禍による「飲食店での酒類の提供制限」やテレワークの増加も、オルタナティブアルコールの注目が高まるきっかけの一つになった。

 アルト・アルコの安藤さんは、今後は商品数を増やし、消費者のニーズに応えていきたいと考えている。現在、自社でオルタナティブアルコールを製造する計画を進めているところだ。

「ソムリエと共同で進めていますが、ワインのように気軽に飲めるドリンクを目指しています。アルコール、ノンアルコールという垣根を越えた、新しいドリンク文化を日本につくっていきたいと考えています」

(吉田由紀子/5時から作家塾®)