コロナ禍に伴う企業のデジタルシフトで活況なビジネス向けソフトウエア市場。米セールスフォース・ドットコムはM&A攻勢で、因縁の相手である業界の“巨人”米マイクロソフトを追撃する。特集『総予測2022』の本稿では、277億ドルでSlackを買収したセールスフォースの、次なる大型買収候補を予想した。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
Slack買収立役者のカリスマエンジニアが
セールスフォースの共同CEOに昇格
新型コロナウイルス感染拡大に伴う企業のデジタルシフトが追い風になっているビジネス向けのソフトウエア市場。2022年の注目は、M&A戦略で成長を遂げてきた米セールスフォース・ドットコムが、5年前に断念した大型買収に再度踏み出すかどうかだ。
キーマンは21年11月にセールスフォースの共同CEO(最高経営責任者)に昇格し、創業者のマーク・ベニオフCEOと“同格”になったブレット・テイラー氏である。
テイラー氏は米グーグルや米フェイスブックなどに勤め、グーグルマップの開発や、「いいね!」ボタンの考案者としても名高いカリスマエンジニアだ。自ら創業した共同作業用ツールのQuipが16年に7.5億ドルでセールスフォースに買収されたことで転籍。共同CEOへの昇格前までは、COO(最高執行責任者)を務めていた。
また、セールスフォース史上最高額となる277億ドルのSlackの買収が21年に実現したのは、テイラー氏の功績だ。Slackのスチュワート・バターフィールドCEOは、「長い付き合いのあるブレットの存在が、売却を決断する鍵になった。今後数十年のソフトウエアの進化に対する視点が似ている」と述べている。
そんなテイラー氏を巡るもう一つの注目人事が21年11月に発表された。