トヨタとBYDの関係

 トヨタは2021年6月にBYDとバッテリー供給について提携を発表している。BYDのLFPバッテリーなど基幹技術を応用した新型BEVを22年末(22年4月北京モーターショーでコンセプトモデル発表)に中国市場に投入する計画もある。この新型BEVはトヨタのbZシリーズのひとつになると見られており、先の16台のうち「bZ SDN」という車両はBYDの「HAN」に外観もよく似ている。bZシリーズはトヨタのグローバルBEVでもあるので、これが実質BYDのOEM供給になるのではないかと予想できる。

BYD HANPhoto:BYD USA 「HAN」 
トヨタの電気自動車戦略に潜む中国の巨大な影Photo by Shinji Nakao

 22年に中国市場に投入されるトヨタの新型BEVに関連する情報としては、トヨタ側から小型BEVには欠かせない技術という主旨の発言がある。

 またトヨタが9月に開催したアナリスト向けの「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」では、BYDやCATLとの関係について、一定量は内製化を進めるが、規模やリードタイム(スピード感)、地域性が要求される状況によっては「積極的に一緒にやらせていただきたいと考えている。そこで生産するラインについては、設備投資はメーカー側が投資し、ラインについての考え方をしっかり議論してやっていく」との発言もある。

 これらは、主にバッテリー開発や供給についての発言であり、そのまま車両開発やOEM供給の話まで広げるのは危険だが、バッテリーに関して強固なパートナシップがあり、車両製造のリソースも十分に持った企業と、OEM供給についての選択肢をあえて排除する合理的な理由は見当たらない。

 とはいえ、現時点でBYDがトヨタに完成車をOEM供給するという事実は存在しない。トヨタも14日の発表では、たとえばブラジルなどバイオフューエルのエコシステムが成立している国では相応の商品ラインナップを揃えるとするなど「地産地消」を強調していた。中国国内向けのトヨタブランドに、中国自動車メーカーのOEMが含まれることはあっても、基本は各国、各地域のモデルや工場に合わせた生産としていく。