「やりたいこと」を見つけるために
学びが必要だ

 確かに、今ミドルが置かれている状況をすべて個人の責任としてしまうのはあまりに酷です。しかし、被害者意識からは何も始まりません。時代のせい、会社のせいにしたところで、誰かが責任を取ってくれるわけではないのです。

 であれば、この状況を認め、受け入れ、自分の意志で新たな一歩を踏み出すことこそが、みなさんの希望の灯になるのではないでしょうか。

 2020年に一世を風靡(ふうび)したアニメ『鬼滅の刃』の劇中、物語の序盤で、鬼となった妹・禰豆子を斬ろうとする柱・富岡義勇に、泣きながら妹を助けてほしいと嘆願する竈門炭治郎を、義勇はこう叱責します。

「生殺与奪(せいさつよだつ)の権を他人に握らせるな!」

 大ヒットした作品ですから観た人も多いと思いますが、なかでもこのセリフは会社で居場所を失いつつあるミドルの心に突き刺さったのではないでしょうか。

 思えば、日本のサラリーマンは生殺与奪の権を会社に握られていました。今こそ、それを自分の手に取り戻すべきときです。

 では、何をしたらいいのか。

「やりたいこと」を見つけるのです。「天職」に出会うのです。それこそが自分のキャリアのオーナーシップを握り、幸せな第二の職業人生を送るために最も大事なものなのですから。

 しかし、自分でキャリアビジョンを描いた経験がないミドルが、ゼロからやりたいことを見つけるのは簡単なことではありません。

 あまり深く考えずにとりあえずで決めてしまうとあとで方向転換することになるリスクが高すぎますし、かといって、じっくり時間をかけて考えれば正しい答えが見つかるというものでもありません。そもそも頭の中だけで考えても答えの出にくい問題です。

 そこで、私が提案するアクションが「学び」です。まずは興味が惹かれる分野に関して学んでみるのです。学ぶという行為、学びに付随する体験は、「やりたいこと」を実感をもって知るためには非常に効果的だからです。