バリバリ働いていた人が「働かないおじさん」扱いされてしまうワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

給与が高い一方で業績への貢献度が低い、いわゆる“働かないおじさん”をどう扱うか。日本企業が直面する問題の一つである。しかし、そうした「働かないおじさん」も元から成果が出せていなかったわけではない。なぜ、働かないおじさんになってしまうのか。また、中高年社員のパフォーマンスを向上させるにはどうすべきなのか。難波猛氏の著書『「働かないおじさん問題」のトリセツ』から、一部抜粋・再編集して解説する。

経験豊富で頑張っているのに
「働かないおじさん」と言われてしまう理由

 今は「働かないおじさん」だったとしても、昔はバリバリと働いていた時期があったはずです。

 入社した直後にいきなり「働かない新入社員」となり、その後もずっと「働かない若手社員」「働かない中堅社員」といった立場をずっと続けてきたような人が、20~30年も会社に居座り続けるのはさすがに難しいでしょう。コンサルティング現場でも、そこまで長く問題が放置されているケースはごく僅かです。

 では、「昔はバリバリと働いていた人たち」が、いつの間にか「働かないおじさん」になってしまう理由はどこにあるのでしょうか。

 最初に思いつくのは、加齢に伴う体力の衰えや技術の進化かもしれません。それも当然あるでしょうが、実は精神面や心理面の影響も大きいのです。

 一般に、仕事に対して情熱を燃やしているときや、少し背伸びをした「新しいスキル」を習得しながら「新しいチャレンジ」をやっているときに、人間は大きな幸福感や集中を得ることができると言われています。

 これは「フロー体験」と呼ばれる現象です(『フロー体験 喜びの現象学』M.チクセントミハイ(世界思想社))。

 逆に、「新しいスキル習得」や「新しいチャレンジ」などの刺激がない状態が続き、同じルーチンワークを繰り返すだけになってしまうと、その作業には習熟しても、新鮮な知的刺激が減り「飽き」「退屈」を感じるようになります。