職場の「俺は聞いてないおじさん」をDXでゼロにする、3つの画期的施策Photo:PIXTA

デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためには、組織で横断的に情報を共有し、誰もが必要な情報にアクセスできる環境の構築が不可欠です。しかし、DX化の前に立ちふさがっているのが「ポジションで仕事をするおじさん」というパターンがよく見られます。このようなおじさんに対して、どう対策すればいいのでしょうか。(KADOKAWA Connected代表取締役社長 各務茂雄)

DXを妨げる、組織のサイロ化と「ポジションで仕事するおじさん」

 DXを進めるためには、情報の共有が大原則です。しかし、大規模な企業や買収をくり返して組織が複雑化した企業では、組織がサイロ化(業務プロセスなどが他事業部や部門との連携を持たずに自己完結して孤立する状態)しているケースが少なくありません。こうした企業は情報もサイロ化してしまうため、スムーズな情報共有が難しくなっています。

 さらに、情報共有の弊害になっているのが、「ポジションで仕事をするおじさん」の存在です。年功序列が当たり前の時代感覚が抜けず、「ポジションの高い人だけが情報を持っていればよい」と考えている人たちです。このタイプは自分の知らないところでプロジェクトが進むと、「俺は聞いていないぞ」と怒り出したり、「俺だけは知っている」と知っている情報を武器に社内政治を進めようとしたりします。これでは、DXを実現するどころか、ビジネス全体の足を引っ張ることになりかねません。

「俺は聞いてないおじさん」や「俺だけが知っているおじさん」の最大の特徴は、オープンなコミュニケーションを拒むことです。なぜならコミュニケーションが可視化されると、本来知っておくべき人に情報が共有されていないことがバレてしまい、「情報格差を武器にした社内政治」が通用しなくなるからです。

 こうしたおじさんは、過去の仕事のやり方に固執し、変化を嫌います。なので、チャットやWeb会議、チームカレンダーの共有、「Google Workspace」や「Dropbox」といったITツールの活用は「導入には前例がない」と言って、とことん抵抗しようとします。

 ただし、「意図的に情報を隠そうとするおじさん」は改善の余地があります。なぜなら、「価値がある重要な情報は何か」を理解しているからです。むしろ、「どの情報が重要なのかを判断できず、情報を無意識に滞留させるおじさん」のほうが、企業にとっては厄介な存在です。