D社労士にアドバイスを受けたC社長は、その後Bに連絡を取り、明日から通常通り出勤するように話し、無断欠勤とされていた期間は有休扱い、今日の分については通常出勤扱いとすることで了承を得た。このことにより、Bが労働基準監督署へ駆け込むことはなくなった。

 またA課長には、部下の有休に関する扱いの間違いを指摘した。A課長は解釈の間違いは認めたが、人手不足が続いているので部下に勝手に有休を使われると仕事が回らなくなると反論した。C社長はそれでも社員への有休付与は会社の義務であり、取得させないことは法律違反であることを説明し、有休の取得ありきで部下の業務を組み替えて運用するように説得した。そしてどうしても人手が足りない場合は、他部署から異動で補うか、社員の中途採用を検討すると約束した。

 その後A課長は、いろいろ工夫してみたが、人手不足の解消までには至らなかった。さらに、Bの影響を受けた他の課員たちからも有休取得の申請が上がってくるようになった。A課長は頭を抱えた……。

 2月上旬、3人の“新入社員”が総務課に配属された。メンバーは全員、定年退職した元総務課OBで、C社長が頼んで毎日交代で2名ずつ勤務してもらうことにしたのだ。彼らは世間話が好きで時々手が止まることがあったり、仕事途中のお茶タイムが長かったりするのが玉にキズだが、それでも人手不足は解消された。彼らがBたちと仲良く仕事をする様子を見たC社長とA課長は、ホッと胸をなでおろした。