夕方、C社長から相談の依頼を受けたD社労士は甲社を訪れた。C社長は、D社労士にBの件について詳細を説明した後、「あくまでも一般的な話ですが、当社は就業規則で『無断欠勤が連続7日以上に及んだときは懲戒解雇にする』と決めています。もし社員がこのような事態になった場合はクビにできますよね?」と質問した。

「就業規則に明記があるというだけでは、解雇することはできません」
「それは、どうしてですか?」
「まず、無断欠勤した日数です。甲社の就業規則では連続7日以上の無断欠勤で懲戒解雇の対象になっていますが、それでは期間が短すぎます」
「えっ? じゃあ最低何日間の設定が必要なんですか?」
「無断欠勤を理由とした懲戒解雇が認められる可能性がある目安は、判例や行政通達によると『正当な理由がない無断欠席が、おおむね連続2週間以上続いた場合』とされています」

 D社労士は続けた。「それに、次のような事例に当てはまる場合も解雇扱いにはなりません。」

<社員が無断欠勤をしても解雇できないケースの例>
 ○ケガや病気、事故など健康上の理由や、メンタルヘルス不調が原因で会社に連絡をすることが困難だった。
 ○地震、洪水、大雪等の自然災害やその他の災害のため、会社への連絡ができなかった。
 ○無断欠勤をした原因が会社の職場環境にあった。
 →例えば、社内の人間からパワハラ、セクハラなどハラスメント被害を受けていたケースなどが該当する。
 ○退職届を提出したのにもかかわらず受理されず、会社を辞めることができないため、やむをえず欠勤した。
 ○社員から有休の取得申請があったのにもかかわらず、会社が一切認めなかった。

「さらに、A課長の有休申請に対する対処方法にはいくつかの問題点があります」