資源、エネルギー、穀物などの価格高騰は幅広い業種のコストを増加させる。特集『企業悶絶!インフレ襲来』(全13回)の最終回では、その衝撃度を測るために、新型コロナウイルス感染拡大前と直近の四半期の売上高原価率を比較し、その上昇度でインフレ「採算悪化」ランキングを作成した。非製造業編に続いて今回は製造業編上位50社を公開する。穀物価格の上昇で製造コストが上昇した食料品の会社が上位を席巻した。足元の食料品価格の値上げもこうした苦境を反映したものである(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
食物価格の上昇で続々値上げに
踏み切る食料品メーカー
東洋水産は2022年4月1日から焼きそば、生麺、冷凍食品など約150品目の値上げに踏み切る。その幅は生麺類で6~13%、天ぷらなど具材類で9~11%、業務用冷凍食品で3~14%。かなりの値上げである。
原料となる穀物など食品価格の上昇、原油価格上昇による燃料費の増加などで値上げに追い込まれた格好だ。本特集#11の『山崎製パン、カルビー、キッコーマンに続く値上げはここだ!食材高騰に食品メーカーも苦悩』に見るように、東洋水産に限らず、多くの食料品メーカーが値上げを表明している。
コスト増加に苦しんでいるのは食料品メーカーだけではない。原価上昇、収益圧迫に苦しんでいる企業をあぶり出すために、原価率上昇度を基にしたインフレ「採算悪化」ランキングを作成した。本特集#4『インフレ「採算悪化」ランキング【非製造業50社】2位はANA、ワースト1は?』では、非製造業編を掲載したが、今回は製造業編をお届けする。
非製造業と製造業で別々にランキングを作成したのは、多くの場合、原価に人件費が含まれることが少ない非製造業と、人件費が含まれる製造業は、比較するに当たっては分けるべきだと考えたからである。
金融、情報・通信、サービスを除いた全上場企業の1月4日時点での時価総額上位500社について、直近の四半期決算(原則21年6~8月期から同8~10月期決算)の売上高原価率と、コロナ禍に見舞われる前である、その2年前の同時期の四半期決算の売上高原価率を算出し、前者から後者を差し引き、原価率上昇度を求めて高い順に並べた。
次ページから製造業の上位50社を掲載する。上位には食料品メーカーがずらりと並んだが、1位は食料品メーカーではなかった。その会社はどこか。