企業悶絶!インフレ襲来#6Photo:VCG/gettyimages

日本の基幹産業、自動車。この業界が見舞われているのは、半導体飢饉だけではない。世界的に広がる鋼材高、素材高が、日本の自動車メーカー各社をどれだけむしばんでいるのか。特集『企業悶絶!インフレ襲来』(全13回)の#6では、メーカー別に痛手度を実額で公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

鋼材、ロジウム、銅…
資源高が車メーカーを襲う

 世界な資源高の波が、自動車業界にも容赦なく押し寄せている。典型的な資源が鉄だ。

 トヨタ自動車は2021年8月、日本製鉄との鋼材価格交渉で大幅な値上げを受け入れた。両社は半年ごとに、鉄鉱石や原料炭の価格動向などを踏まえて価格交渉をしてきたが、同5月に鉄鉱石が過去最高値を付けた中、トヨタは大幅な値上げをのむほかなかった。

 鋼材価格は足元では高値に一服感が出ているが、トヨタはじめ自動車メーカーにとって頭が痛いのは、ここ1年で高騰した素材は鋼材以外にも多数あるという事実だ。例えば窒素酸化物を除去する触媒となる貴金属のロジウム。ガソリン車の排ガス浄化に使われるが、同3月に前年同月比5倍まで急騰。その後相場は落ち着いたものの、22年に入ってまた急騰の気配を示している。

 銅やアルミニウムといった主要な非鉄金属も高値圏にある(関連記事:#1『パナソニック、トヨタも苦悩、鋼材高より怖い「2つの金属」高騰に自動車電機メーカー悶絶』)。

 資源インフレを受けたコスト高は、実のところどの程度自動車メーカーを苦しめているのか?次ページではメーカー別のコストアップの痛手を実額で一挙公開する。