世界で進む資源高は、鋼材のような工業材料ばかりか、小麦粉や食用油など食品価格の高騰も招いている。昨年秋から相次いでいる食品の値上げは、どこまで広がるのか。特集『企業悶絶!インフレ襲来』(全13回)の#11では、次に値上げが予想される企業を探るとともに、食品業界を襲う「構造的なリスク」にも迫った。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
異常気象に投機マネー…
食料高騰がメーカーを直撃
時価総額の4分の1が「蒸発」――。2021年秋から株式市場での評価を大きく下げているのが、パンの国内最大手である山崎製パンだ。無理もない。小麦、砂糖、油脂など重要な原材料が軒並み上昇し、利益が圧迫されかねない局面にあるからだ。主力商品の食パン類を22年1月に平均9%も大幅値上げするなど、昨秋から2度にわたって商品の価格改定を行ったが、投資家の目線はまだ厳しい。
食品業界は今まさに、原材料高騰による試練の時を迎えている。
国連食糧農業機関(FAO)が発表する世界食料価格指数は21年に平均125.7ポイント(前年比28.1%増)に達し、10年以来の高水準となった。コロナ禍からの経済再起動による需要回復や、世界で相次ぐ異常気象、投機マネーの流入といった要因が複合し、幅広い品目での高値を招いている。
この流れの中で食品メーカーは重要な決断を迫られる。中には「待ったなし」の企業もある。次ページで見ていこう。