Vさん一家の老後は?
資産が尽きるのは何歳の時?

 次に、夫の年齢が75歳(Vさんの年齢は61歳)以降の家計収支を試算します。

 相談文によると、夫が75歳で仕事を辞めると、年金は250万円になるとのこと。その時のVさんの収入は226万5000円ですから、合わせると476万5000円になります。

 一方、支出は貯蓄額を除けば月43万1000円、年間517万2000円です。ただ、積立保険の支払いが終わっており、また交際費やガソリン費などの仕事絡みの支出も減額になるはずです。

 仕事絡みの支出がいくらなのか定かではありませんが、月5万円、年間60万円の減額としましょう。すると、年間支出額は517万2000円から60万円減の457万2000円になります。つまり、Vさんが65歳になるまでの4年間の収支は多少の余裕をみても、概ねトントンで済むと思われます。

 Vさんが65歳時点で、夫は79歳です。収入は夫250万円、Vさん130万円の合計380万円ですが、国民健康保険料や税金の負担があるので手取額は330万円とします。

 支出は457万2000円で変わらないとすれば、年間の赤字額は127万2000円になります。先程の試算に沿ってVさんが61〜65歳になるまでの家計収支は増減なしと仮定します。すると、Vさんが65歳時点の金融資産額は4580万円です。

 4580万円の金融資産額から毎年の赤字127万2000円を取り崩した場合、約36年間の取り崩しが可能です。

 つまり、Vさんは101歳まで、夫は115歳になるまで金融資産が持つことになります。通常、歳を重ねるほど支出額は減少していきます。そのため、Vさんが65歳時点の金融資産額で老後をカバーできる期間はさらに長くなり、かなりの余裕があると考えてよいと思われます。

 相談文に記載がないため、今回の試算にはVさんと夫の退職金は含まれていません。Vさんは学校事務職員、夫は会社経営を行っているのですから、ご夫婦共に退職金は平均並みにはあるのではないでしょうか。

 退職金が支給されれば、家計(キャッシュフロー)にはさらに余裕が生まれます。また、夫の賞与も考慮していませんので、賞与が出て、かつそれを貯蓄に回せばその分も余裕になるでしょう。夫の賞与、ご夫婦の退職金があるならば、建て替えの費用はVさんが考えている上限「4000万円」でも大丈夫でしょう。

 ただし、4000万円まで支出してしまうと、いざというときのための予備資金が一時的にほとんどない状況に陥る恐れがあります。建て替えに4000万円支出するのであれば、予備資金を確保することを忘れないでください。 

(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)