空き時間の使い方を考えること=効率的なタイムマネジメント

――ここからは、既存のタイムマネジメントの手法がフィットしなかったことから編み出された、水口さん流のタイムマネジメントについて教えてください。

水口 仕事を効率的にさばき、納期に追われる不安を解消する手法を見つけたい。そのためには何をすればいいのか? と考え続けた結果、私がたどりついたのは「“空き時間”を把握して、仕事(タスク)の実行日を決める」というやり方でした。

 会社における仕事は「アポイントメント」「タスク」「予定外の仕事」の3つに分類できます。アポイントメントは、会議だとか打ち合わせといった、時刻が指定される仕事全般。タスクとは、時刻に関係なく、日々粛々と進めていくべき自分の仕事。予定外の仕事とは、突発的に入ってくる問い合わせや、部下からの相談事への対応などです。

多忙を極めたエンジニアの残業時間を3分の1に減らした時間術とは?

水口 私の就いていたエンジニアという職種は、会議がそれなりに多いうえに、各人の抱えるタスクのボリュームも大きかった。そのため、必然的に残業が増える構造になっていました。なるべく残業を減らそうと考えると、会議などのアポイントメントが入っていない“空き時間”を管理し、効率的に使わなければなりません。

 空き時間――言い換えるとタスクの実行に充てられる時間ですが、それまでの私はアポイントメントだけを気にしていて、“空き時間を管理する”という意識を持っていませんでした。私に限らず、これは多くの人にあてはまることで、実際、勤務時間の中にどれだけの空き時間があるかをはっきり把握できていない人は多いです。スケジュールをチェックすると、一日の中にはアポイントメントが入っていない時間帯もありますよね。そこから休憩時間や移動時間などを除いた部分が、すべて空き時間です。

――空き時間=タスクを実行できる時間だということは、空き時間を明確にしたら、その日にどれだけタスクを進められるかがわかりますね。

水口 はい。大抵の人は、スケジュールにタスクの締め切りしか記入しません。しかし、それだと、締め切りに至るまでのどの段階でタスクを実行するかが曖昧になり、ずっと「あの案件、いつ手を付けようか」と不安に思っている状態になります。

 これを解消するために有効なのが、空き時間の状況に合わせて、タスクの実行日を決めていくことです。締め切りギリギリにならないよう、余裕を持って取り組める日に実行するのが理想ですね。頭の中で決めただけだと、たとえばエンジニアのような、同時並行で進める案件が多い職種の場合、必ず混乱してきます。そのため、タスクを実行日に入力して、可視化する。今日、明日分だけでなく、来週、再来週に行うタスクも実行日に入力してしまいます。