1日に2割は「予定外の仕事」が入ることを前提にしよう
――納期と空き時間のバランスを考えながら、いつ、どのタスクを実行するか決めていけば、やみくもに焦って不必要な残業をすることもなくなりそうですね。一方で、その日に予定していたタスクが終わらないと、さらに残業が延びる、という事態につながりそうです。
水口 その日に予定していたタスクが終わらない場合、主に2つの理由が考えられます。一つは、実行するタスクを詰め込み過ぎているパターン。もう一つは、その日たまたま「予定外の仕事」が立て込んだパターンです。
ある日の一日の勤務時間のうち、3割程度がアポイントメントで埋まっているとします。残りの7割のうち、休憩時間などを除いた部分が空き時間。仮に、ここでは6時間あったとしましょう。この空いている6時間に、6時間でこなせる見通しのタスクをみっちり入れると、すべてのタスクをやり遂げられない可能性が高くなります。なぜなら、会社の仕事には「予定外の仕事」もあるからです。
予定外の仕事に対応するのも、基本的には空き時間です。会社勤めをする人なら、誰しも経験済みだと思いますが、予定外の仕事って意外と多いんですよね。弊社の調査では多くの人は平均的に一日の労働時間の約2割、管理職になると3割程度の時間を、予定外の仕事に費やしていることがわかりました。
ですから、タスクの計画を立てる時点でも、そのことを考慮する必要があります。使える空き時間のうち、1時間半から2時間は予定外の仕事で埋まると想定して、残った時間でこなせるタスクを入れるようにあらかじめ計画するわけです。つまり、6時間の空き時間があるなら、4時間~4時間半で終わる分量のタスクを入れるようにする。
――タスクが終わらない2つ目の理由は「予定外の仕事」が立て込んだ場合ということですが、これも日常的によくある状況ですね。
水口 タスクの分量に無理がなくても、予定外の仕事が大量に入ってきて、思うように仕事を進められない日もあるでしょう。逆に、想定したほど予定外の仕事が舞い込まず、落ち着いてタスクを進められる日もあるはず。時間が余るなら、ラッキーだったと思って、先にやるはずだったタスクを進めていけばいい。反対に、終わらない日があればいくつかのタスクを翌日に繰り越したっていいんです。
タイムマネジメントというと、決めたことを決めたタイミングで行う、時間割をきっちりこなすようなイメージを持たれるかもしれません。ですが、職場と学校は違うので、仕事を完璧に時間割どおり進めるのは難しい。ですから、ある種の“ルーズさ”が必要になります。