上司は絶対に部下のタイムマネジメントの粗探しをしない!

――実際にタイムマネジメントを行う方法について伺います。空き時間をチェックし、タスクの実行日を記入する際は、勤務先のグループウェア上のスケジュール管理画面などを活用すればいいのでしょうか?

水口 グループウェアのスケジュール管理画面でアポイントメントを管理している人が多いと思うので、そこでタスクの実行日も管理しましょう。やっぱり、アポイントメントとタスクは同じ場所で管理したほうがやりやすいです。スケジュール画面を1カ月分で表示させたり、他の人のスケジュールと同時に表示させていると自分の空き時間が見えないので、個人のスケジュールを週単位で表示させるのがベターですね。日付ごとに、実行するタスクを箇条書きにしていきます。

――部署やチーム間で、メンバー同士のスケジュールを共有する場合も多いですが、チームのリーダーからすると、部下がこのやり方を取り入れてくれれば、タスクの進捗度合いをチェックできますね。

水口 チーム全体でこのタイムマネジメントを実践した場合、そういったメリットもあります。なお、このときに上司が絶対にやってはいけないのは、部下の予定の粗探しをすること。原則として、タイムマネジメントは人それぞれ、自分自身のために取り組むものなので、そこに上司があれこれ口を出すべきではありません。

 仕事のペースがスローに見えても、期日に間に合えばいいわけですから、基本的に一日単位の遅れなどは容認して、長めのスパンで見守る。部下が予定外の仕事を吸収する意図で、あえてスケジュールに余白を持たせているのに、上司が「もっとタスクをやれるんじゃないか」などと言い出すと、部下はげんなりしてしまうでしょう。

――テレワークで物理的な距離があることにより、上司が部下のマネジメントに苦慮するケースもあるでしょう。なかには「部下が怠けているんじゃないか」と気になっている人もいるはずですから、スケジュールに余白があると気になるかもしれませんね。

水口 このタイムマネジメントにおいては相互理解が必要です。そもそも、上司が「予定外の仕事が結構ある」という認識を持っていなかったり、部下の「予実管理」をきっちりしたいと思っていたりすると、部下のスケジュールの余白が許せないかもしれません。

 ですが、これまでにも度々触れてきたように、現実の仕事には常に予測不可能な部分が存在するわけで、状況により“予実”が合わない日なんていくらでもあります。だからこそ、タスクをうまく回すためには余白が必ず必要で、きっちり、厳密にやるより、ルーズに管理したほうがうまくいく。つまり、このタイムマネジメントは一見ゆるくて簡単そうでありながら、もっとも現実に即したやり方なんです。ゆるいからこそ継続しやすいというメリットもありますしね。

 ですから、部下を束ねる上司のみなさんにも、タイムマネジメントを実践してもらうのが理想です。みんなで取り組み、職場のルールとして定着させることができれば、全体的にタスク管理がしやすく、仕事の能率が上がる土壌が形成されていくでしょう。