この先コロナがどうなるかなんて全く予測がつかないので、劇場押さえはまるでロシアンルーレットだ。

 1年以上先の、なんなら3年先の、どの月のどの日にちにどの劇場で上演するか。劇場を押さえたらもう、その時期に感染の波が来ないよう祈るしかないのだ。

 公演中止になったら、大赤字。ただでさえ黒字を出すのは大変なのに、赤字のリスクばっかり膨らむ。

 ならやらなきゃいいじゃないかという話だが、公演を重ねることでしか積み上がらないものがある。目標は公演を重ねていくその先にあるのである。

 だから私は進むのだ!

 と決意も新たに闘志を燃やしながらパソコンに向かう。

 視線の先では我が子がパパと遊んでいる。紙に何やら文字を書いている。

 我が子は今年で5歳。クレヨンしんちゃんと同い年になる。

 日々、お尻をぷりぷり振って喜んでいる我が子にも、がんばる親の背中を見せなければ。

 先日幼稚園で「お父さんの仕事は?」と聞かれて、「おさむらいさん」と答えたそうだ。

 親のがんばる姿をみせようと、舞台に立つ父の姿をよく見せに行っているのだが、確かにお侍さんが多かった。そして確かにお侍さんになるのは立派な父の仕事である。

 あれはコロナ禍前。

 我が子を連れてリハーサル中の舞台裏を訪ねたことがあった。