ドーパミンをコントロールして
「目的達成型」の人間になろう

 では、ドーパミン読書の効果やメカニズムについて、もう少し詳しくお話ししましょう。

 大学時代、生物学の授業で脳内物質について学んで以来、僕たちは、脳内物質が人間の心身にもたらす作用に興味を持ち、『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』(中野信子著、幻冬舎新書)や『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳、新潮新書)など、さまざまな本を読んできました。

 脳内には、アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニン、オキシトシンなど、さまざまな物質が分泌され、人間の思考や行動に影響を与えていますが、ドーパミンは、

・モチベーションが高まっているとき
・好奇心が働いているとき
・新しいことを始めるとき
・楽しいことをしているとき
・目的を達成したとき
・他人からほめられたり感謝されたりしたとき
・おいしいものを食べているとき
・ときめきを感じたりセックスに興奮したりしているとき
・ギャンブルやゲームに夢中になっているとき

 などに分泌されます。

 真摯(しんし) に努力し目的を達成したときも、目の前の快楽におぼれているときも、脳内では同じドーパミンが分泌されているのです。

 ドーパミンは、「頑張った自分へのご褒美(ほうび) 」として分泌されるものです。

 ドーパミンが分泌されると、脳の前頭前野(ぜんとうぜんや) が興奮して、人は幸福感や満足感、充実感を抱き、「もう一度その幸福感を味わいたい」と思うようになります。

 ドーパミンが「快楽物質」「脳内麻薬」とよばれるのは、そのためです。

 ギャンブルやゲーム、アルコール、タバコ、薬物、買い物、SNSなど、快楽によって手っ取り早くドーパミンが分泌され、それが常態(じょうたい)化すると、依存症に陥(おちい)ってしまう危険性があります。

 しかし、新しいことにチャレンジするときや、努力し目的を達成したときにドーパミンが分泌され、幸せを感じると、人はもう一度その幸せを味わうため、さらなるチャレンジをしたり、次の目的に向けて努力を重ねたりするようになります。

 そして、チャレンジや努力が苦労や辛いものではなく、楽しく感じられるようになります。

 ドーパミンをうまくコントロールすれば、目的達成型の人間になることができるのです。