「報連相」(報告・連絡・相談)の徹底は長らく、部下の成長を促す上でベストな方法だとされてきた。だが、伝説のバラエティー番組「電波少年」シリーズを生み出したテレビプロデューサー・土屋敏男氏はこの説に大反対。報連相が必要ない自由な番組作りがヒットにつながったと語っている。一体どういうことか。ダイヤモンド・オンラインがお届けしている、土屋氏と経営学者・入山章栄氏の対談動画(全5回)から、その理由を書き起こした記事を特別公開する。(ダイヤモンド編集部 濱口翔太郎)
>> 人気経営学者が各界の第一人者と対談!特集『入山章栄×超一流対談』(全9回)の動画はこちらから
「報連相」のしすぎは逆効果
部下の企画力を奪う要因に
「こんな商品、売れるわけがない」「こんな企画、やっていいと思っているのか」――。新規事業や新商品の企画会議で、部下のアイデアに怒りを覚えたことがある管理職は少なくないだろう。
「俺が若い時は…」と、嫌味の一つも言いたくなるのも無理はない。
だが実は、組織からイノベーションが生まれない原因は管理職自身にあるのかもしれない。特に、普段から部下の行動を細かくチェックし、「報連相」を求めるのが癖になっているマネジャーは要注意である。
「僕は報連相、大反対なんですよ」
こう切り捨てるのは、1990年代に一世を風靡(ふうび)したバラエティー番組、「電波少年」シリーズを手掛けた日本テレビ放送網の土屋敏男プロデューサー(土屋P)である。
電波少年といえば、お笑い芸人やタレントによる“アポなし突撃”で人気を博した番組だ。
長い眉毛がトレードマークの元首相・村山富市氏に「眉毛を切らせてほしい」と頼み込む、当時の大蔵省に「大臣の椅子に座りたい」とお願いしに行くといった型破りな企画が受け、全盛期には30%超の視聴率をたたき出した。
だが土屋Pはかつて、上司の指示に従って番組を作った揚げ句に視聴率が低迷し、番組制作から外された苦い経験がある。その一方で、制作に復帰した際に「好きなようにやれ」と“放任”されるとアイデアが湧き、電波少年のヒットにつながったという。