高い質感、装備も充実
走りは軽快でスムーズ

 室内は実に広い。室内長×幅×高は2015×1280×1260mm。従来比で45mm高く、25mmワイドになった効果は絶大。驚くほどのスペースを確保している。中でも後席のルーミーさは特筆レベル。無理なく足が組めるほどのゆとりがある。ただし、後席使用時のラゲッジスペースはややタイト。後席足元空間を少し削って、荷室を拡大したほうがトータルの使い勝手は増すのではないか、と思った。

 驚いたのは高い質感だ。インパネ/ドアパネルとも樹脂材の仕立てがよく、デザイン性も高水準。シートにデニム調のファブリックを採用するなど、居心地がとてもいい。ベーシックモデルとは思えないほどだ。

 装備も充実しており、シートヒーター、フルオートAC、USBソケットなど、日常ユースに必要なアイテムは標準装備。これでメーカーオプションの7インチディスプレイオーディオ(11万2200円)を装着すれば万全。ディスプレイオーディオには360度モニターやヘッドアップディスプレイがプラス装備され、スマホ連携でナビ機能も活用できる。

 走りは軽快、スムーズだ。パワートレーンは新世代の直3DOHC12V(49ps/58Nm)とモーター(2.6ps/40Nm)の組み合わせ。車重が710kgと、ワゴンRスマイル比で160kgも軽いこともあってパフォーマンスはなかなか強力。加速時に巧みにモーターがアシストし、街の流れに無理なく乗れる。その気になればリードすることも自在だ。WLTCモード燃費が27.7km/Lと、Kカートップを誇る点も新型の大きな魅力である。

 アルトは、乗るほどに生活になじみ、自然体でつきあえる逸材だった。スズキのクルマ作りの高い実力を実感した。

(CAR and DRIVER編集部 写真/山上博也)

CAR and Driverロゴ