オンラインサービスだからこその
メリットと課題

 ランニングをはじめ、様々なスポーツでオンラインを介したものが一般化されつつあります。ただ、その中でも課題はあります。出走者すべてを管理するリアルレースではなく、オンラインでは皆さん、ご自身の近所を走ることが多いです。スピードを出しすぎたり、危険な道を走ってしまったりと、様々なケースが散見されるようになりました。「安全な場所で走る」という啓蒙も、今後はしっかり対応していかなければなりません。

 リアルレースを好まれる方々にどのようにオンラインレースの魅力をアプローチするか、と考えることもあります。リアルランナーはなかなかオンラインを利用していただけません。ですが、それが故に、パフォーマンスやモチベーションが下がってしまっては、我々が理想とする状況ではなくなります。

 オンライン参入への障壁を下げるため、たとえば、歴史あるレースでしたら、現地の特産品が受け取れたり、実際に現地にコースを一部設置して走ってもらったりなど、できる限り現地の感覚が出るよう工夫しています。人気レースだと倍率が高くエントリーが大変ですので、次回以降の出走権もインセンティブとしてご用意いただくなども行っております。ランナーの皆さんにとってレースとは、単に走ることではありません。開催された地域に非常に愛着を持たれている方が多いので、そういった期待に応えられるようにしたいですね。

 一方で、オンラインだからこそのメリットも見えてきました。まだまだ走り始めたばかりのビギナーにとっては、時間制限のあるリアルレースは、敷居が少々高いもの。オンラインですと時間に制限されることなく走るレースも開催されています。専用アプリを使うと累積計算もしてくれるので、日々のランニング記録を蓄積することで、フルマラソンに参加することもできるのです。こういったきっかけから、リアルレースに参加する人が増えるといいですね。コロナが終息しても、私たちがサポートするレースでは、リアルのみではなく、オンラインも同時に開催していくことで、より発展させていきたいですね。

*「アシックスジャパンに聞く(3)」に続きます。