――若者の取り組みへの意識が高いと言われています。それについてはどう思いますか。

 鳥取県では子どもの頃から、お互いの顔が見える関係性が築かれています。それが、素直な気持ちで応じていただけていることにつながっていると思います。

 世代によっても異なりますが、自治体が積極的にSDGsに取り組んでいるのか取り組んでいないのかを、きちんと伝えることが必要な時代となっています。若者にもそれが伝わっているのではないでしょうか。

――これから広げていく予定のプロジェクトはありますか。

「とっとりSDGs子ども伝道師制度」を実施していきます。学級単位でSDGsについて勉強し、実践する子どもたちを「子ども伝道師」に任命することで、子どもの自立的かつ主体的なSDGsの普及啓発や、実践拡大を図ることを目的としています。

 2030年へのメッセージと、学校や地域でのSDGsの取り組みを募集し、「子ども伝道師」に認定して、実践拡大へとつなげていきます。

――最後に、全国の自治体がこれからSDGsに取り組むうえでのアドバイスをお願いします。

 全国の自治体は、地方創生を将来の最も大きなビジョンに据えて活動しています。都道府県には大小があり、立地や地域の特性など、自治体によって差があるのは当然であり、自分たちの地域の課題に即した自分たちの身の丈に応じた取り組みから、始めてみることがよいと思います。

 ややもすれば「SDGs」という言葉だけが先行しがちですが、自治体の本来の目的を見失わずに取り組みを推進し広げていくこと、それぞれの地域に関わりのあるSDGsの取り組みをスタートさせることが、大切だと考えています。

SDGsの本来の目的を
全国に伝えていく

 このように、SDGsの取り組みが想像以上の本格さで進んでいる鳥取県。今後の新しいプロジェクトにも注目が集まるはずだ。SDGsの評価と17のゴールにおける意識が高い鳥取県が、『地域版SDGs調査』で2年連続1位を獲得したことは、納得の結果といえるのではないだろうか。

 ちなみに鳥取県は、2022年3月14日、内閣府主催の「第一回地方創生SDGs金融表彰」を受賞した。選定された5件の取り組みのうち、「J-クレジット販売促進取り組み」など、県内から2件が受賞。表彰式はメディアに取り上げられ、新たなSDGsの取り組みとして注目される。

(取材・文/ライター 西嶋治美)