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上場株式の相続税評価と計算式

 預貯金や現金以外の相続財産は、定められた算式に従い、その価値を評価することで価額を算出する。これを「相続税評価額」と呼ぶ。

 相続の際の「上場株式の評価」は、原則として、相続発生日にその株式が上場している金融商品取引所(証券取引所)公表の株価を基準に行うことになっている。しかし、株価は1日内でも変動する。そこで、以下4点のうち最も低い価額で評価されることが認められている。

(1)相続発生日の最終価格(
(2)相続が発生した月の毎日の最終価格の平均額
(3)相続が発生した月の前月の毎日の最終価格の平均額
(4)相続が発生した月の前々月の毎日の最終価格の平均額
※最終価格は、いわゆる「終値」のことで、午後3時の市場取引終了時の価格。なお、相続発生日が市場の休日に当たる場合、相続発生日に最も近い日の最終価格を用いる。

「上場株式」は、取引価格が市場で公開されているので、専門的な知識がなくても時価がわかりやすい。また、4種類の中から最低価格を選べるというのも、相続人にとっては有り難い。

 相続人それぞれが納めるべき相続税の課税額は、以下のように4段階で計算する。

[計算1]相続税が課される遺産総額を計算
上場株式の評価額を含めた総遺産額-債務・葬儀費用-基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)
遺産総額がマイナスになれば、相続税は非課税となり、納税の必要はない。

[計算2]法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額を計算(1000円未満切り捨て)
上記1の課税遺産総額×各法定相続人の法定相続分

[計算3]相続税の総額を計算
法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額×税率-控除額(下表参照)

図表:相続税の速算表出典:国税庁『No.4155 相続税の税率』 拡大画像表示

[計算4]各相続人の相続税額を計算
上記3で算出した総額を相続人それぞれの財産の取得割合で算出し割り振る。

 相続税の申告は、原則として相続人全員が1つの申告書で行うことになっているが、各相続人が個別に行うことも可能。申告書の提出先は、被相続人の住所地を所轄する税務署となる。もちろん、国税の電子申告・納税システム(e-Tax)からもできる。