中国・上海「封鎖」されている上海市内のマンション 写真:筆者の友人提供

中国・上海で新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が拡大している。これに伴い、上海では公共施設や観光スポット、医療機関などが閉鎖され、小規模な地区ごとに町を「封鎖」するなど、実質的なロックダウン状態に陥っている。これまで「コロナ対策の優等生」とみなされてきた上海だが、市民の間には鬱憤(うっぷん)がたまっている。(日中福祉プランニング代表 王 青)

上海が実質的なロックダウン状態に
「封鎖」が一向に解除されない地区も……

 新型コロナウイルスの感染が再び中国各地で拡大している。これまでコロナ感染対策で都市としての管理・運営能力が高いと称賛され、全国の「見本」となっている上海市では、今、オミクロン株の感染拡大が深刻だ。地域ごとに「閉鎖」して、人々の行動を制限する政策を強行している。「閉鎖」の通達が出れば、多くの市民は時計が止まったかのように、その時点の居場所にとどまるしかない。自宅や会社などに閉じ込められて、一歩も外に出られない状況になるという。中には、買い物に出かけたショッピングセンターから2日出られなかったり、小学校にいた児童が家に帰れなかったりといったケースもある。

 3月12日に上海市政府は「全ての小中学校・高校、幼稚園・託児園を休校・休園とする」と通達した。そして、観光スポット、映画館、図書館などの公共施設を含め、一部の医療機関も閉鎖した。

 現在、感染者および濃厚接触者の住居地や滞在した場所の地域は「中高リスク地区」や「重点地区」と指定され、その周辺の地域も含めて順番に閉鎖し、大規模なPCR検査が行われている。昼夜を問わずPCR検査を受ける長蛇の列の写真がSNS上には多数アップされている。陽性の場合は、例え軽症でも、すぐに医療施設に送り込まれて隔離される。現在は既存の病床がいっぱいとなり、仮設病院を増設しているという。

 上海市は、リスクのある「小区」(マンション数棟の区間、塀に囲まれていてゲートがある)を48時間封鎖、その間PCRの陽性者が出れば、さらに14日間、封鎖の期間を延長する方針だ。しかし、市民からは、「もうすでに何度も48時間が経過しているが、解除される気配がない。説明が一切ない」と怒りの声が上がっている。