――イベント出店は、新たな試みですよね。なぜイベントに出店しようと思われたのですか?

 ドムドムの店舗はほとんど街のスーパーの中に入っていて、売り上げ規模も小さく、常連の限られたお客さんに守っていただいている状態でした。

 ですから、何か新しいチャレンジ、施策の反応を計るには、いつもと異なる場所で異なるお客さまの反応を見るべきだと考えました。その反応を頼りに次の施策が考えられると思ったのです。

絶滅危惧種「ドムドムハンバーガー」を黒字化、39歳で初就職した社長の経営術藤崎忍社長(浅草花やしき店にて)
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 初めて参加したのは、声優の田村ゆかりさんのイベントでした。声優さんのファンの方々はSNSの使い方が上手な方が多く、それを駆使して一生懸命応援されていると聞いていたので、コラボバーガーがどんなふうに拡散されるのか興味がありました。しかし、看板や出店料などの初期投資が大きいし、準備したハンバーガーが売れる確証もなかったので、役員会では反対意見ばかりでした。

――そんな中、イベントに出店してみた結果はどうでしたか?

藤崎 それが、すごくうまくいきました!2日間にわたるイベントだったのですが、初日のお昼には、2日間分の目標だった1000個が完売して、もう在庫がないという状態でした。

 その後「FRAPBOIS」さんからお声がけいただき、アパレルコラボも実現しました。ドムドムハンバーガーのロゴをお貸しするだけなので、金銭面でのリスクはありません。ただ、社内では「なんでバーガー屋が洋服をやるのか」「ロゴの管理が難しい」「ロゴの形や色は遵守しなければならない」と反対されました。でも「何色でもいいじゃない」って思いました(笑)。FRAPBOISの方々は今どきのセンスのいい方ばかりなのだから、その意見を取り入れたほうがいいと思いましたね。

――先ほど店舗に行った際に、社長がスタッフの名前を一人ずつ呼んでおられたのが気になりました。全国の店舗スタッフの名前を覚えておられるのでしょうか?

藤崎 巡回していた頃に会った方々のお名前は覚えていますよ。でもコロナで2年間ほとんど巡回ができていないですし、最近ちょっと衰えています(笑)。

 仕事をする上で、特に心がけているのは、「和をもって事を運ぶ」ということです。調和し、そして議論して分かり合う、この姿勢こそが「事」を順調に運ぶことにつながると思っています。その中で特に2つのことを大事にしています。