環境問題から暴力まで
2020年代の日本と世界が取り組むべき課題も

 ここからは近年、さまざまな形でニュースになった課題が続きます。

目標13 気候変動への緊急対策
 日本の場合、脱炭素をどれだけ早く進めるかが重要です。先日も電力不足で一時、首都圏が停電となるぎりぎりの状態になりましたが、今後の努力としては電力消費をどう減らすのかに取り組んでいかなければ、気候変動を抑えることはできないでしょう。

目標14 海の豊かさを守ろう
 海に囲まれた日本にとっては、身近で守りやすい目標でしょう。世界全体では海洋プラスチックごみや過剰な漁業による海洋資源の取り過ぎが課題になっています。いつまでも美しい海であることの旗振り役として日本が活躍していきたいですね。

目標15 陸の豊かさも守ろう
 細目としては、生態系をどう守るかに力点が置かれた目標です。日本の場合、循環型の地域社会としての里山が、高齢化によって林業、農業双方で維持が難しくなってきていることも課題です。

目標16 平和で暴力のない社会
 ロシアによるウクライナ侵攻からウィル・スミスの暴力まで、今年はあらためて平和と暴力のない社会の大切さに焦点があたる年になりました。日本の安保という大きな問題も課題ですが、実はもう一つ、子どもへの虐待や暴力の撲滅が日本にとっては重要な2030年の達成ゴールであることも忘れてはなりません。

目標17 グローバルパートナーシップの活性化
 これらの目標を先進国だけが達成するのではだめだという考え方から、先進国は途上国に資金と技術を提供するパートナーシップが求められます。SDGs目標が世界同時にあらゆるレベルで到達できるように、努力が必要なのです。

 サステナブル、つまり持続可能な社会に変わっていくということは、一つ二つの取り組みではなく、すべてがお互いにつながっている大きな循環と協力の仕組みを作り上げていくことだということがわかってくる枠組みです。

 わたしたちの社会は日本国内で見ても、グローバルで眺めてもたくさんの課題にあふれています。一つ一つの問題についてどうすればいいのかを判断する際に、「サステナブルな尺度で考えたらどうすべきか」と考える習慣が根付くことで、世界は良い方に変わっていける。

 サステナブルとは、そのような世界を変えられるパワーワードだったのです。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)