内定(内々定)早期化にともなう“辞退者防止”の秘訣
年々、企業における、学生との接触開始や内定(内々定)出しの早期化が進んでいる。ただ、早い時期に内定(内々定)を出すと、辞退者も増える傾向があるという。辞退者をできるだけ減らしていくにはどうすればよいのだろうか。
福重 ポイントは、就活生の「気持ちの旬」を見極めることに尽きます。就活をしている学生としては、いろいろな会社をある程度見てからでないと「この会社で!」という気持ちにならないものです。それが「気持ちの旬」ということです。
たとえば、他社をあまり知らないままにA社から良い返事をもらっても、その後、もっと良いB社が見つかれば、就活生の気持ちはA社からすぐに離れていきます。学生の「気持ちの旬」を見極めるには、その学生がどのような会社を志望し、接触してきたのか、志望する会社群の中で自社のことをどう見ているのか、が極めて重要です。いろいろな会社を見てきたうえで、自社をどう思っているのかを確認すれば、かなりの確度で自社を選ぶか否かの本音を見極められるはずです。
実際、超人気企業はそれほど早くに内定・内々定は出しません。いまや多くの企業が学生と接触する最初の機会として実施している「インターンシップ」の参加者に対しても、「他社をいろいろ見てから当社を考えてくれればいいから」といった姿勢が好感をもたれたりします。
1社でも内定・内々定を取れると、学生は、「他社がダメでも最悪この会社には行ける」ということで、心理的にとても安心します。そのため、就活のペースや活動量が鈍る傾向があります。また、内定・内々定が出た後は、内定・内々定をもらった企業よりも人気が高かったり、自分にとってチャレンジングな企業に目が向くようになります。そこから新たには受験企業を増やしたりはしないので、まとまった人数を採用したい企業は、魅力的なインターンシップをつくって、多くの学生を集め、早めに接触することが有効的な戦略になります。
なお、自社が学生にどう思われているかについて、「当社の位置づけは?」「他に考えている会社は?」などとストレートに聞いてみても、正直に答えてくれるとは限りません。遠回りかもしれませんが、まずは「就活はどう?大変だよね」といった何気ない会話の中で学生との人間関係を構築していくのがコツです。