絶対間違えてはいけない順番
情報収集が先、自己表出は後

 いかに「強い新人」といえども、「もっと強い先輩」がいるかもしれないのだし、当初は周囲の様子を見ることが肝心だ。

 自分の情報を先に与えるのではなく、相手の情報を先に得ることが優先事項なのだと心得ておこう。

 早期に得るべき情報は、以下の5点などだ。

(1)上司および先輩個々の能力と個性(長所とコンプレックスの両方を把握したい)
(2)自分の仕事に関わる実質的な意思決定システムと決定者
(3)自分に関わる評価のシステムと最終評価者
(4)部署内の人間関係
(5)上司と、その上司、さらに他部署のマネージャーとの関係

 普通のサラリーマンなら鈍い人でも半年くらいそこにいると自然に把握する情報だが、これらをなるべく早く獲得しよう。2週間から、遅くても1カ月以内を目標にしたい。

 相手を先に知るべき理由は、周囲の人間環境に合わせて「自分像」を調整する方が、早くより快適な環境を作る事ができるからだ。

「強い新人」であっても、多くの新人が犯す失敗がある。それは、「自分はこういう人物なのだ」ということを先に表出して早く理解を得る方が、周囲に合わせてもらいやすいだろうと期待することだ。

他人は自分の期待通りに反応しない
時には意地悪でさえある

 恥を忍んでいうなら、新入社員の頃、あるいは若い頃の転職の際に、筆者はそれに近いことを考えていた。「率直に、まず自分から自分の情報を出す方が、結果はいいに違いない」と思っていたのだ。何と、素朴なバカであることか。大きな勘違いだった。

 こうしたアプローチは、うまくいかないことが多いものだ。他人というものは、物事を自分の予想する通りに感じてくれる生き物ではない。また、自分の期待するように反応してくれないことがよくあるし、時には意地悪でさえあるからだ。