たとえば、先の例でいえば、「お客さんが売上25%増を3年以内に実現するために、良質な企画書・提案書を作成するためのノウハウを提案・発信する」というように、会社の戦略を咀嚼し、具体化させたうえで、部下と共有します。

 部下に浸透しやすい形に戦略をブレイクダウンすることで、部下はそれを正しく理解し、その達成に向けて具体的に動くことができるのです。

(3)部下に役割を与える

 戦術とは何か。「何を」「どうやって」「いつまでに」やるかを決めることです。

 すると、「やるべきこと」「やるべきでないこと」が見えてきます。仕事の目的や意義、目標、予算、期限……を具体的に挙げて、メンバーたちとよく話し合い、個々の役割を明確に決めていくのです。

(4)部下を「その気」にさせる

 メンバーたちに個々の役割を伝えるとき、ただ仕事の内容、進め方を機械的に伝えるのではなく、「あなたにはこのような役割を期待しているから、ぜひ頑張って、結果を出してほしい」と伝えます。このステップは省略してしまいがちですが、ここが人を動かせるかどうかのキモであり、できるリーダーと、できないリーダーを分ける分岐点でもあるのです。

 きちんと相手への「期待」を伝えること。部下を「その気」にさせて動かすのが、一流のリーダーなのです。

ウォークマンをヒットさせた
盛田昭夫の覚悟

 人間は、自分の言動を正当化したがります。誰もが自分はかわいいですし、保身に走るのも、しかたがないことではあります。

 ただし、これがいきすぎるとチームがバラバラになったり、仕事が非効率になったり、成果が出にくくなったりします。