吉野家の騒動には
一段深い闇がある
今回は、吉野家の伊東正明常務取締役が解任された事件の話です。早稲田大学の社会人講座で、吉野家が女性顧客層を拡大する着眼点について「生娘をシャブ漬け戦略」と説明したことがSNSで拡散し、「人権・ジェンダー問題の観点から到底許容することはできない」として同氏は解任されました。
これを受けて吉野家は、コンプライアンスの対策を強化することでこのようなことが起きないようにすることを約束しています。ここまでは誰も異論がない話です。
一方で、吉野家が受けた被害は甚大です。本来はブランド構築を確固たるものとする役割のマーケティング戦略の専門家に、吉野家ブランドが地に落とされるほどのダメージを与えられて、彼に出ていってもらうことになってしまったわけです。
この問題、「起きたことを悪い」と断罪するのは比較的簡単で、実際に吉野家はそう対処しています。一方で、「どうすれば二度と起きなくなるのか?」を考えると、簡単な問題ではないことがわかります。吉野家だけではなく、「自分の企業でこういった問題が起きないようにするにはどうすればいいのか?」を考えだすと対策を絞ることが難しいのです。