また長期を前提に投資するなら、今、投資を始めるのでも構わない。原則論として、始めるのに良いタイミングの見つけ方などというものはないからだ。

 諸々を考えて「投資はやめておいた方がいい」と思うのは、当面の物価高への対策を理由に、短期で成果を出そうと思っているような人に対してだけだ。

 原則論として「タイミングは判断できない」と思うものの、向こう1年はいかにもリスクが大きいと思うからだ。すなわち、本稿の筆者は原則論を少し逸脱して、親切をしているつもりだ。しかし、親切のつもりが無駄なお節介であるかもしれない。

山崎元がお勧めする
「長期投資の運用対象」とは?

「原則論は分かっている」という人のためにも親切になろう。

 長期投資の運用対象は、全世界株式(日本株を含む)のインデックスファンドで信託報酬率の低いものに投資するといいと筆者は考えている。例えば、「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」などが挙げられる。世界の投資家が運用指標とするS&P500種株価指数との連動を目指すインデックスファンドとの比較などの詳しい理由は、水瀬ケンイチ氏と筆者の共著である『全面改定 第3版 ほったらかし投資術』(朝日新書)を参照してほしい。

 なお、対面営業の証券会社を利用している方には、窓口で手数料が安いインデックスファンドの扱いがない場合が多い。同じく全世界株式の株価指数をターゲットとして運用する上場投資信託(ETF)を長期保有することをお勧めする。例えば、「MAXIS全世界株式(オールカントリー)上場投資信託」(銘柄コード2559)などだ。

 東京証券取引所の上場商品なので、扱いがあるはずだ。買ったら売らずに、長期保有することが重要だ。