ウクライナを舞台にした武力衝突は、それ自体として早期終結が望ましいが、「予想の問題としては」長引きそうだ。ロシアに対する経済制裁は続くだろうし、小麦などの世界的な不足も継続するだろう。これらは、米国の軍需産業やエネルギー産業、さらに金利の上昇を通じて金融業などにとっては収益の改善要因だ。

 嫌な言葉だが「遠くの戦争は買い」という相場格言を思い起こす。米国の景気に急ブレーキが掛かる可能性は小さいようにみえる。

 しかし、それ故に、米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ抑制の成果が出るまで利上げとバランスシートの縮小、すなわち金融引き締めを続けるだろう。この過程のどこかで、株価は大きく下げる可能性が大きい。

 金融引き締めの進行が確実視される中で、株式投資を勧めるのは気が引ける。

一方的な円安への賭けは危険
円高のリスクもある

 円安の進行は日々のニュースで印象づけられていることもあって、確実な円安トレンドが今後も継続するようにみえなくもない。だが、「円安が続く」とみることに小さからぬリスクがあるように思える。

 現在の円安の主な理由は、日米の金融政策の違いだ。金融引き締め姿勢が明確なFRBに対して市場が反応し、米国の長期金利は上昇している。一方、日銀は緩和的な金融政策の継続を宣言していて、特に長期金利(10年国債の流通利回り)を上限0.25%で抑え込むなど、方向性が真逆に見える。

 仮に円安に賭けるとした場合に心配なのは、少々先まで含めた日米の金融政策の差が「現在が最大に見える状況」にあるのではないか、ということだ。

 心配なのは、日銀の金融政策の転換が見えてきた時点で、この「差」が縮小することだ。そして、それは十分起こり得る。